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Vol.15: 立石 2

2010年08月29日 19:59

モツを食して内臓を修復。これであなたもタティシエだ。

ミツワの煮込みこの6月に日暮里から江古田へと移り住み、当ブログの更新もぱたりとなくなり、すっかり下町を捨てたなどと揶揄される毎日。小生自身も、ほどほどに雑多、ほどほどにカルチャーあり、ほどほどにのどかな江古田の街に徐々に心を奪われ、戦後までは田畑だらけであっただろう緑豊かな練馬の街並みを爽やかに自転車で走り抜けるという、ヘルシー極まりない生活にすっかり甘んじてしまっている。環七の豊玉陸橋の標識を見れば、亀有まで20kmという下町との距離感。小生はこんなに歴史のない新興都市に踊らされていていいのだろうか。下町から城北気質になりつつある自分に喝を入れつつ、当ブログの原点である立石を再び綴ろうと思う。


世の中にはラーメン博物館が存在するが、立石とは街自体が酒場博物館である。土曜の昼間になれば、首都圏のあちらこちらから呑み助が京成の列に乗って立石にやってきては、昼酒を求めて店々の列に並び始める。日曜は閉まる店が多いため、当然に土曜はどの店も混む。なので平日に有給を取って立石にやってくる助までいるというから驚きだ。

それもそのはず。食べログのマップで立石周辺を見てみるといい。狭い場所を赤い星マークが埋め尽くしている。そんな立石は葛飾区役所のお膝元にあることもあいまって、「下町の首都」さらには「酒都」とまで形容される。なかでもモツ焼きの名店「宇ち多"」は、「宇ち中」や「宇ち入り倶楽部」なるファンサイトまで存在するほどのカリスマ的存在で、下町の大衆酒場において頂点に君臨する。(ちなみに宇ち多"ファンにとっては宇ち多"に行くことを「宇ち入り」と表現するようだ。) 店内にはメニューがなく、客は「レバたれ若焼き」や「タン生」などの暗号の掛け合わせで注文する。この敷居の高さが常連になりたいとさせる意欲を掻き立てる。

蘭州の香菜そばそんな立石の酒場群は美味いのは当然だが、破格なほどに安い。「宇ち多"」や「ミツワ」であれば、2杯と2品で1000円でお釣が来る。慣れた"タティシエ"たちは1店舗で胃と肝臓を満たさず、ほどほどに楽しんだ後には他の店へといそいそと走り列に並ぶ。立ち食い寿司の「栄寿司」に濃厚餃子の「蘭州」に鳥半身丸上げの「鳥房」など選択肢が無限にあり、気付けば最終的には千鳥足で店移動。家族の目を盗んで独り酒を楽しみにきたお父さん、気の知れた男同士、さらにはホルモン好きな食通の女性まで、様々な客層が笑顔で列に並んでいる光景が心地よい。小生はそんな大人のテーマパークの立石を「舌町」と評している。


宇ち多東京西側在住の人は口を揃えて言う。「ホルモンだったら、中野や高円寺や中目黒でも楽しめるじゃないか」と。しかし中野や高円寺や中目黒のホルモン屋は、若者が下町大衆文化に憧れて吸収してから店舗を出した印象が強く、どこか小洒落てしまっている感が否めない。たしかに駅前は下町風情の雑多な雰囲気はあるが、一歩入れば閑静な住宅街という違和感がつきまとう。演出としての瓶ケースの椅子やドラム缶のテーブルの粗雑な店に対して、なぜかビール1杯500円以上を支払うというリアリティの矛盾に。

立石仲見世しかしそれだけのコストを払いながらも立石の味のクオリティには到底及ばない。中野や高円寺には、まるで黒人ブルースに憧れたイギリス白人小僧の「ホワイト・ブルース」のように、どこかプラスチックでリアルなグルーヴがないのだ。もっとマディ・ウォーターズのように"地に足着いたアーシーなロックンロール"がほしい、そんなルーツ開拓の浪漫のある方は、ぜひ「スタンディング・ロック・シティ」に足を運ぶべきだと思う。

そしてちょうど9月4日(土)は町を上げての立石フェスタ。なぜかサンバカーニバルや音楽祭までやるというから、やや期待よりも心配がつきまとう。「中央線沿線ごときに負けねえよ。」そんな無理して若ぶった立石もまた興味深い。応援のため、久々に下町に向かうのであった。

[立石フェスタ2010公式WEBサイト]
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